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しまおまほ「まほちゃんの家」を読んだ。


しまおまほと言えば、私にとってはどうしても


「島尾敏雄の孫」「伸三の娘」だ。


ゴリコやその後のサブカル活動はかすんでしまう。



まほちゃんの父、島尾伸三は、あの「死の棘」の家で育ったわけですよ。


カテイノジジョウにまみれて育った。


母ミホは父トシオの浮気に傷つき、発狂し


陰険にねちねちと夫を苛む。


それに堪えかねたトシオは首つりしようとし、


ミホは「やめてーやめてー、伸三、おとうさんをトメテー」と叫ぶ。


昼夜の別なく続く「カテイノジジョウ」の中の兄伸三と妹ニャンコ、


島尾敏雄はその頃のすさんでいくわが子の様子を描いて秀逸なのです。


「障子硝子のシルエット」なんて、小説家の業をみるようだ。




わたしもカテイノジジョウのなかで育ちました。


あだるとちるどれん、などという称号で呼んでも差し支えない。


当然社会からはみ出す子どもに育ち、いじめられ疎外され、


自らも集団のなかにいることを好まないままに大人になっちまいました。




「死の棘」を読んでミホやトシオより、



伸三とニャンコのことが気になるのです。



彼らはどうなったんだろう。



どんな大人になったんだろう。




「中学のころから落ち着いて字が読めない病気が続いているのです。


ノートに数行も字を書くと、頭が混乱して、字が書けなくなるのです。


人の話も、一人の話を聞いているのが我慢出来ないのです。


じつとしていると頭のなかに幻覚のような声が、


不愉快な別の話を幾つも始めるのです。


数人の人が別々に話していると落ち着くのにです。


教室が騒がしくて、友達とふざけ合っていると、


同時に読書に集中出来るのです。


これでは勉強なんて出来っこありません」


伸三は長じて自分の病気についてこう書いているのを読んで、


ああ、やっぱり、と思いました。


結局機能不全家族で育った子どもは多動傾向等が出てしまう。


悲しいけれど事実だ、負の連鎖・・・


その連鎖はどこまで続くのだろう?





そこで読んだ「まほちゃんの家」は


わたしに朗らかさを与えてくれたのです。


実際はどうだったのかはさておき、


ここには父・伸三とその妻・登久子(ともに写真家)が築いた


平凡な家庭があります。


ニャンコだったマヤも登場する(それはとても切ないのですが)。


まほちゃんは心の闇を健やかに抱えて


深みのある女性に成長していくのです。



負の連鎖はある。確実に存在する。


でも薄めていくことだってできる。


負の世界を、暗闇を内包しつつ


美しく咲く花もある。




双極性障害の母のもとで育ち、


アルコール依存症の男と結婚した


摂食障害PTSD過呼吸突発性難聴持ちのナツコさんは


いま、


息子と娘の寝顔を心やすらかに眺められるようになりました。


見たことない未来の不安なんて、知るもんか。







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