生うふ帳

寒さに肩をすくめて帰ってくる

階段を上ってドアをあけて電気をつける

部屋にはいって息を吐きだし

上着を脱ぐ

布団がうごく

ねえ、そと寒かったでしょ

今日もおしごとしてきたの、えらいなあ

わたしは今日はなにもしてないの

ちょこっと仕事してお掃除とお洗濯してゴハンつくって

ひとりのお昼ご飯は焼き芋だったの

ねえ、お昼なにたべたの？おべんとう？

ひとりで？うん、したよ

そのまま寝ちゃったの

だから何も着てないの

だからねえ、早く脱いで、脱いで

はやくはやく

ぬいでぬいで

掛布団をめくって

外気に触れる肌

外気をまとってきた肌と待っていた肌

あー、手、冷たい

温かい

あったかいでしょ

ねえ

ねえ

待ってたの

待ってたの

わたしの腕があなたの首飾り

脇のしたは

わたしの頭をおくようにくぼんでいるでしょ

冷たい手で触って

知ってるところ、触って

知ってるでしょそこをね、触ってほしい

もうどっか行っちゃだめなのね

お仕事も行っちゃだめなのね

もうずっとくっついてるのね

そういう遊びなの

ばいばいする時間まで

そういう遊びなの

現実のわたしは

不在を抱えて温めています

想像じゃ肌は補えないわねーーーーー