生うふ帳

えーと、ナツコです。

お仕事の合間をぬって人妻で集まってビューティー部活動に忙しい。

何人も集まったらメイクさんを呼んで、まつ毛パーマとかアートメイクとかしてもらうの。

すごくかっちょいいメイクさんで、主婦のために安くしてくれるのですね。

今度はネイルやるの。うっきっき。

子どもいるといけないんだもん、まつパーもネイルも。

髪の毛さえ２０００円カットとか、ひどいときはほんっとに床屋で切ったこともあったわ。

だってどうしようもないんだもん。

でも自宅なら、交替でコドモみながらできるでしょ？

ウキウキするじゃあないですか、主婦がやりくりした２千円でまつ毛パーマ。

旦那も誰も気づかなくても、自分が嬉しいの、みんな。

鏡みて、パアって顔を輝かすの。

きれいだよ、みんな。

そんなメイクさんとれっつ人妻ガールズトーク。今回はシビアよ。

メイクさん

「あたしさー、別居してるの、もう６年だよ！

　旦那は離婚したがってるけど、もうＡＴＭで。

それで、こういう資格とって、あと靴の営業と、友達んとこの会社のバイトして、

あと、夜中に一時間、毎日清掃のバイトもしてんの～♪」

「ひえっ？そそ、そんなに？ねえねえ、わたしも明るい母子家庭目指してるんです。

でも身内がいないの。そんで子ども、３歳６歳。仕事、ある？」

「ない。ないね。パートはまずないなあ」

「・・・・ですよね・・・ないよね・・・・パートていうか・・・

　正社員がいんですけど・・・・ないよねえ！」

「ああー。難しいなあ。時間帯が夜中とかならね」

「夜中見てくれるひといないからそれは無理なんだあ。土日祝も出られない」

「キビシイねー。やっぱ子どもが寝込むと、休むの続くからね」

「そうですよねー、そこなんですよね。

　やっぱりとりあえず二人とも小学校にあがるまで、ＡＴＭに食べさせてもらわなきゃなあ

・・・・情けないけど・・・でも、仕方ないですよね」

「そうだよ。いつか離婚するんでもさ、なるべく伸ばさなきゃ。

わたし・・・義理人情タイプでさー、だけど・・旦那には・・・・お金お金になっちゃった」

「ああ、そこを裏切られたから、そうなったんですね。それキツイですね」

「キッツイよー！好きだったんだもん。でもいまは、憎んでもいないし何とも思わないの」

「同じだ！わたしもです。水のような感情が流れるだけ」

「そうそうそう。そうなのよー。でもさ、お金はね」

「そうですね、お金はね。

わたしも育ちが母子家庭で、かなり貧乏だったので、もうアレは嫌ですね」

「そうかあ。わたしはそういうの、なかったけど・・・」

「いやー、なっちゃんち、、おやつないから行きたくないって言われたりしましたもん」

「ああー、お母さん、辛かっただろうね」

「はい、病気で寝てる時間長かったですしね」

「そお・・・・わたしもさ、今はこんなゲハゲハ笑ってるけど、神経内科とかまで行ったのよ」

「あ、うちの母もそっち系です」

「そうだよねえ、離婚したらそうなるわ」

「でもねー、どうにかなるって思わないとね」

「ソウヨー！自分でひらくのよお」

「はい。どうにかします。メイクさん、恋とかしないの？」

「しないよお。仕事が楽しいもん。それに、夜中はバイトだし、土日も働いてるし時間ないわあ」

「そうかあ。男ですね」

「男だねえ」

「やっぱ、男にならないとやっていけませんかね」

「どうだろ。人にもよるわね、友達もけっこうシングルが多くてさあ。

　皆、再婚してるよ」

「えー。お子さんは？」

「いるよー、けっこう大きいけど。

　もうさ、おじさん・・・・おじいさん？優しくて甘えさせてくれるひととくっついてるよ」

「ナヌー！！そんなイイ話が転がってるんですか？

　やだ、わたしもそれがいいですっ」

「けっこう多いよ、そういう人・・・男のほうも、わかっててさ」

「需要と供給かあ・・・・いいなあ・・甘えていいおじいさん・・・・わたし好きなひとの介護したいもん」

「アハハ、ならいいね。そのうち出会うわよー」

「出会いますかねえ。コドモがなつくのかなあ・・・・」

「ねえ、でもまずいわよ、別れる前はね」

「あー。まあ、慰謝料とかいいんですけどね」

「そんなこと言ってちゃだめよお！！絞らないと！！」

「まあ、そうなんですけど。でも、わたし、親権は絶対もらえるから。

　暴力があったし、それ、役所や病院が知ってるから強いんですよ」

「そうなの・・・でも多いよね、ＤＶも・・・今は？」

「今はないですね。軽くやられるときはあるけど、ま、普通です」

「でもそれなら慰謝料はもらわなくちゃ」」

「ねー。慰謝料もらうなら分割しないで、減額してもまとめて一気にほしい」

「そうね、もう顔みなくていいしね」

「うちはねえ、１８になったらコドモは出てってねって今から言ってるの。

家にいるなら自分の家事全部やって、生活費いれてねって。

高卒で十分、大学行くなら育英会の奨学金もらって自分で返してねって。

わたしもそうしたし」

「そうねー、わたしもＡＴＭがなかったら大学は難しいかも」

「だって、馬車馬のように働いても、きっと年収２００行かないですよ。

　もう今から貯金ちょきんですうう」

「そうよー！貯金は大事よ。通帳にいれないでもっといて」

「ああ、共有財産になりますもんね」

「・・・ねえ、こういうお金はどっから出してるの？」

「あ、だいじょぶです。わたし、けっこう長く働いたし。

　ほら、貧乏だったでしょ、コドモのころからいつか必要になるんだって貯めに貯めてきたの。

　だって頼れるひとっていなかったし。

　お金が好きなわけじゃないんですよねー。でもあったほうがいい。

　ブランドバックもいらなかったし、旅行も興味なかったし。ひたすらバイトして、貯金してました。

　家にいれてたお金は、母が死んだから結局戻ってきたし・・・♪

　いまね、それ使って遊んでるんです。だって今が必要なときなんだもん」

「うんうん。そういうお金の使い方、ほんと大事。ちょっとのことで幸せになれるもんね。

　じゃないとさ、育児も家事も仕事も全部イヤになるよね」

「ほんとですよー。あー、今度のネイル楽しみ～♪」

・・・何に使ってるかっていうと、玩具ちゃんとか？ははは。

遠慮しないもん。わたしのお金だもん。２歳のお年玉から貯めてるんだもーん♪

まあ、お金使うことに興味がないんです。

唯一の趣味の本すら買わないんですよ。

図書館か文庫。ときおりブコフ。それ以外は読まなくてもいいのです。

だいたい、わたしのお金の単位は「文庫」。

このカフェでお茶飲むなら、１冊文庫かえるし・・・・

ケーキセットなら２冊・・・とかね。

でも最近はもうそんなケチくさいこと言うのやめたの。

いいの、楽しくするの。あるんだもん、自分のおかね。

読みたい本は買うの。お茶も好きなの選ぶの。

夫のじゃあ、ないもん。

母子家庭になったら、お金使う時間すらないんだから、

今楽しく楽しくしたいんだもーん。

てことで、明日は入学式のスーツ買に行きます。

スーツ！！

何年ぶりに買うんだろ。

もう値段みないで買っちゃる。ふがふが。