生うふ帳

「なっちゃんて、僕より年下なのに

　すごく大人で、追いつけないかんじ。

　・・・でも、バージンみたいなところがあるなと思って」

その通りです。

「みたい」じゃなくて、わたし精神的処女です。

このブログに書いているようなこと、

書けないようなこと、

べらべら喋って、どんどん心を開いているわたし。

こんなの、初めてかも。

だって、この子、わたしのこと好きだけど、

絶対傷つけないもん。

なんてずるいんだろう。

「なっちゃんのこと、考えるとたっちゃう」

「・・・・今までそんなこと言わなかったじゃん」

「今までもたってました。ごめんなさい」

「会ってるとき？」

「うん。いまも」

「いまもー？！そういうの、言っていいの？

　いつからそんな風になっちゃったのかなぁ」

「僕が何か失敗して、なっちゃんにメールして、

　山本直樹僕も好きですって書いて、お返事もらったときから」

「・・・・それって、１０年くらい前じゃない？」

「そうだね」

「仕事中にたってたの」

「そうだね」

ここで言いたいけど言わないことば。

（じゃあ、わたしと、夫と、君とで会ってたときは？）

「リハビリなんて言って、ほかの男と遊んでないで、

　そういうのは僕だけにしておきなさい」

「うーん。でもさあ、ほら、

　どうでもいいひとが、案外突破口を開いてくれることもあるでしょ」

「ああ、きっかけね」

「今まで、好きなひととじゃなきゃ寝ちゃだめって思ってたけど、

何でいけないのか、よくわかんなくなってきたの」

「・・・・（またバージンみたいなこと言ってる）」

「でもね、会いたいのは君だけだよ。

　会わないと、わたし、先にすすめない」

「会いたいね」

「ね。会ってなにする？」

「とりあえず、ソファにゆっくり座ってお酒をのみましょう」

「いいねー。

　あのね、わたし酔うとかみたくなるの。腕をかんでもいい？」

「そんなことくらい、いいけど。

　・・・・片手だけね」

１０年以上仲良くしていて、

初めて聞いた。

かれは片手がつかえない。

わたしはそれに対してなにも言えなかった。

会うといつも、大きな荷物をもってくれる。

そうすると、わたしとボーイフレンドは手がつなげない。

「荷物いいよ。手をつなごう」

その一言がいえない。

あなたはどうやって、こどもをお風呂にいれているの。

あなたはどうやって、片手であの世界にはいって、かけあがっていったの。

あなたはどうやって、女のひとをかわいがるの。

それを聞くのは、抱かれたあとかな。

それとも、聞けたら寝るのかな。